"想い"Concertに寄せて |
作者: 永田 文夫 日本訳詞協会会長・日本音楽作曲家団体協議会理事 |
それは文句なしのグランプリでした。 去る6月12日、東京浜離宮の朝日ホールで行われた太陽カンツォーネコンコルソの本選会 私を含めた八人の審査員は、発声からステージングまで、それぞれの第一人者だけに他のコンクールに比べて採点は極めて厳しく、 ちょっとしたミスも減点の対象にされてしまいます。参加者が優勝圏内から脱落する中にあって、 sakuraさんただ一人群を抜いてもう少しでパーフェクトに近い出来ばえだったのです。 もともと、カンツォーネやシャンソンなどは、イタリア語やフランス語の歌詞に作曲され作られたもの。 それを日本語で歌うにはかなりのハンデを乗り越えなくてはなりません。 いかに優れた歌詞でも原詩とはフレーズの構成も全体のニュアンスも異なりますから、 音程やリズム等の音楽的な正確さもとより、内容の解釈やその表現方法など、緻密でしかも鋭い感性が要求されます。 その点、sakuraさんのアルディラは見事でした。何よりもこの歌を完全に消化吸収し、 原曲の持ち味を損なわずに他人には真似出来ない彼女独自の個性でドラマティックに歌い上げていたことが 審査員全員から高い評価を受けました。そして、これほどの歌唱力を身に付けた歌手が、 おそらく情報量も乏しい鹿児島に出現したことも、私にとっては新鮮な驚きでした。 どこに出しても恥ずかしくない実力者ですから、マスコミを賑わし全国的にブレイクする日もさほど遠く無いことでしょう。 とは言え、歌の道は限りがありません。さらに上を目指して一層の努力と精進を続けて下さい。 とりあえず、今回の受賞記念コンサートに、全力を発揮して大成功を収められるよう 心より祈念し、かつ期待しております。 |